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〒891-4208屋久島町口永良部島379-1
No22
季刊 くちのえらぶ島の自然(2017年 初春)
発行:えらぶ年寄り組
2017年3月10日
灰干し試食会の報告です
昨年11月、灰干しの試食会を行いました。予定していた日が雨だったため、日を改めて島民宅やグループ集会、本村温泉などを訪問して試食してもらい、アンケートをお願いしました。 参加者には説明書を配布して灰干しの作り方も説明しました。◆アンケートの結果参加者は30名でした。魚の種類は、ヘキ、オアカムロ、タルメ、シツです。複数の魚を試食してもらった方もあるので、延べ回答は67でした。
表 1 試食アンケート結果 (回答延べ数 67)
灰干しが良かった
「何もしない魚」が良かった
差がなかった
総合結果
41
19
7
ヘキ
5
3
オアカムロ
15
7
タルメ
6
1
シツ
4
0
<注>「何もしない魚」は、灰干しの製作方法と手順が同一ですが、火山灰を使わずに処理したものです。
◆皆さんの感想 <灰干し> 臭みが抜けている、身が締まっている(しっとり感がなくなる)、味が濃くなる、まろやか(角がとれる)など。 <何もしない魚> やわらかい、塩味がソフト、匂いがするなどの意見がありました。アンケートでは、灰干しすることで、味が良くなったり、匂いが取れたり、食感が変化するとの回答がありました。しかし、魚種によっても違いがあるようです。口永良部島で火山灰が手に入らないのが残念です。
◆灰干しを作ってみませんか!
灰干し作成セットを貸出しできます。火山灰、サラシ、セロハン、ケースなど、余分があります。興味のある方は、山口までご連絡ください。<作り方>魚の切り身を6%の食塩水に2時間(20分としたのは誤り)漬けて、水気をぬぐったあと、セロハン、サラシの順に包み、火山灰にはさみ込みました。冷蔵庫の中で3日間保管すると出来上がりです。
「絶滅が心配な鹿児島の植物」講演会の報告
講師は県立博物館の久保 紘史郎さん
11月17日 に、「絶滅が心配な 鹿児島の植物」と題した講演会を開きました。講師は、鹿児島県立博物館の久保 紘史郎さんにボランティアでお願いしました。参加者は12名、子供たちも熱心に耳を傾け、質問をするなど熱心で、久保さんも喜んでおられました。久保さんは、口永良部島の植物(特にカンアオイなど)を調査されました。カンアオイは、かつては島の方々で見られたようですが、残念ながら今回は発見できなかったようです。久保さんによると「口永良部島やトカラ列島などは、島の成り立ちからして、太古に陸続きだったのが離島になり孤立したので、同じランでも変化した新種が見つかるかも」と興味深い話があり、「屋久島ではムヨウランなどの新種が見つかっています。口永良部島では、タカツルランが生育するような森があるので新種のランなどが見つかる可能性があります」と、誰でも新種の生物を見つけることができると、話されました。
環境省グリーン・ワーカー事業が終わりました
「えらぶ年寄り組」は、環境省からグリーン・ワーカー事業の委託を受けて、島の動植物を調査しました。今年は3年目で、最終年度です<報告書を役場出張所、公民館や本村温泉に置く予定です>。
◆エラブオオコウモリ 昨年8月、船越先生との調査(皆さんに手伝ってもらった調査)で、約50頭のオオコウモリの生息が推定できました<船越先生は今年も調査に来られる予定です>。この一年、オオコウモリが観測しやすい場所と木を探しました。特に注目したのは、神社下の坂道にあるマルバグミの葉のペリットです。一年間通して観測しました。年中食べていますが、3月が一番よくペリットが見つかりました。1mの近さで葉を食べるコウモリを見ることができます。前田のヒゲモモでは、2mの近さでモモを食べるコウモリを観測できました<見学会を予定しています>。その他に、コウモリを近くで見ることができたクワとイヌビワの場所を地図にしました。これまで知られていなかったことですが、クチナシの実をエサにしていました。
◆ウミガメ 島民の皆さんからの情報で分かったことですが、①向江浜にはウミガメが上陸している。②生まれた子ガメが本村の港で発見された・・・・ことが分かりました。美浦の漁港近くのアオウミガメですが、今年見つかったアオウミガメは、10頭で、そのうち4頭が2年前にも写真撮影されていたことが分かりました。片手のないカメ(ジェーン)は、ここ2年ばかり姿がありません。<年寄り組の撮影以外に、>皆さんから写真の提供を受けました。ダイバーの田中(理)さん、築地魚市場の小林さん(元鹿児島大学学生)、金岳中学校の河野英俊先生にお礼申し上げます。
◆ヤクシカ 糞塊を調べてヤクシカが生息する密度を推定しました。50m×4mを3ヶ所(女ガ崎、なかだいら、田代大山)の糞塊をしらべて、生息密度を推定しました。平均ですると、1平方kmあたり約270頭でした。
◆照葉樹林の林床 田代大山のスダジイの森の中10m×10mをネットで囲み、ヤクシカが入らないようにして、林床がどう変化するかを調べました。半年後にしらべると、柵の内側には約300もの実生(マテバシイ、ヒサカキ、サカキカズラ、トカラアジサイなど)を見つけました。柵の外には実生がほとんど見られません。ヤクシカの食害が如何にひどいかが分かりました。見学会しますので、ご参加ください。
◆タカツルラン 今年2017年2月に、「屋久島ラン科植物保全の会」の手塚夫妻とともに、タカツルランの生存確認をしました。立ち入り禁止地域の中にある、みかん山の登山道、砂防ダムの近くを町の許可をもらって調べました。噴火前に確認していた約30個体のうち22個体を調査したところ、4個体が生き残っていました。
スダジイの森は火砕サージの熱風を受けて、木々は立ち枯れ状態になり、そのためにタカツルランの多くが死滅したようです。高木が枯れたため、森が明るくなって、シカが食べないシマイズセンリョウが繁殖していました。谷筋には小規模な土石流が流れた跡があり、向江浜の様子に似ていました。種を採取してスダジイの根元に蒔いたのですが、実生が発見された・・・・と共同研究者の佐賀大学辻田先生から連絡がありました。大成果です。
◆お願い 次年度(今年から)、環境省からの資金が入らなくなります。これからも調査活動は続けますが、謝金が払えなくなります。島民の皆さんのボランティアでのご協力をお願いします。
季刊 くちのえらぶ島の自然(2016年秋臨時)
2016年11月14日
皆さんへお誘い
鹿児島県博物館の久保さんが、調査に来られるのを機会に、講演をお願いしたところ、快諾いただきました。
2016年11月17日 夜7時 公民館で
― 絶滅が心配な 鹿児島の植物 ―
講師:鹿児島県立博物館 久保 紘史郎 さん
この夏に予定していて、台風で中止になった「灰干し試食・講習会」を改めて開催します。
2016年11月17日 昼3時から 農協前で
灰干し試食・講習会
主催:えらぶ年寄り組
季刊 くちのえらぶ島の自然(2016年秋)
発行日:2016年10月12日
エラブオオコウモリ一斉調査が無事終了
鹿児島国際大学の舩越公威先生による、エラブオオコウモリの一斉調査は、お陰さまで無事に終了しました。舩越先生から皆さんへのお礼の便りと、下記の仮報告をいただきました。
一斉調査の中間報告(舩越公威)
皆さまのご協力のお陰です。一斉調査は無事に終了しました。ご協力に感謝申し上げます。下記は中間報告です。 個体数カウントの評価が難しく、まだ結論は出ていません。一つの方法として、本村(その周辺)以外の湯向までの10ポイントでのカウント総数(6頭)と、本村(その周辺)での15ポイントで中学校へは向かわず別方向に飛び去った個体数(28頭)に中学校に飛来した個体数(11頭)を加えた総数(39頭)を単純に加算すると、合計45頭になります。 今回の調査では全島一周の調査ではないこと、前回の調査(2000年10月と2001年9月)と季が違っていたことで比較はできませんが、2001年9月調査(50頭)と類似しているので、新岳噴火以前と以後で個体数に大きな変動がみられず、その影響は小さかったと思われます。
◆ボランティアの学生さん
慶應義塾大学9人、大阪市立大学7人、鹿児島国際大学1人、東京環境工科専門学校5人の学生さん達は、謝金なしのボランティアで手伝っていただきました。
◆えらぶ年寄り組は、
一斉調査の事務局を引き受けるとともに、島民の皆さん(広島大学院生を含む)の謝金支払いを分担しました(環境省予算で支払いました)。鹿児島国際大学は、レンタカー、ガソリン代を分担しました。
「ボランティア体験・学習キャンプ」には、こんなグループが参加しました。
7月末~8月中旬 東京環境工学専門学校 6人 8月7日~9日 屋久島高校 環境コース学生 5人 8月10日前後 大阪市立大学QOL演習グループ 7人 9月末~10月中旬 東京環境工学専門学校 3人
「えらぶ寄り組」では、自然保護の調査を手伝ってもらいながら、参加者に自然を学んでもらう「ボランティア体験・学習キャンプ」事業を始めました。無料のキャンプ場で宿泊してもらい、「えらぶ年寄り組」の調査に参加し、自然や口永良部島の歴史や暮らしを学んでもらいます。
美浦 アオウミガメ
美浦のウミガメが、ずーと1ヵ所に留まって暮らしているのか、それとも回遊する途中で立ち寄ったのかを調べています。水中カメラで撮影すると、甲羅の模様の違いからウミガメを区別することができます。この夏に見つかった10頭の内、4頭がここ3年間、美浦の入り江に居ついていることが判りました。
写真提供:田中さん(旅行者ダイバー)、河野先生、後藤さん(えらぶ年寄り組)の皆さんに感謝します。
表 個体認識されたアオウミガメ個体と確認月 <○に数字は、写真撮影された月です>
個体名
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
1
片手ジェーン
目撃あり
⑥ ⑪
② ⑦⑧
② ⑧
情報なし
目撃なし
2
タツノオトシゴ
⑪⑫
⑥ ⑧
ミダレ
⑧⑨⑩
ハト・佐渡
⑧
⑥⑦ ⑨ ⑪
⑦⑧⑨
ヤッコ55
⑥
首に星
カミソリ
⑦⑧⑨⑩
8
流れ星
⑦
9
逆さN
10
11
ゴルフ・心
⑨
12
ブチ・サブマリーン
①
⑦ ⑧
13
点々
14
パイπ
巨神兵・狩人
⑨⑩
16
エビ
⑩
17
ハの字
18
花火
ナガレ22
⑪
20
マークC
21
フック
22
尾に白点
23
イカリ
24
尾しろ
25
つばめ流星
26
ごま塩
27
3点白
⑦ ⑨
28
ふの字
29
後脚欠損
⑦目撃
<注>2015年1月までの結果は、「えらぶ年寄り組」の、2014年度グリーンワーカー事業で得られた結果です(写真提供:大久保さん、広島大学の学生・院生、鹿児島大学小林さん、峯苫さん、後藤さん)。
環境省の調査事業を引き受けています
「えらぶ年寄り組」は、環境省からグリーンワーカー事業を委託されています。今年が3年目で最終年になります。
事業名は「口永良部島における動植物の生息・生育状況把握事業」で、エラブオオコウモリ、ウミガメ、植生などの調査と、シカやノヤギの生育状況を調査しています。
ご協力をお願いします。
ペリットや コウモリ情報を教えてください。
無料のキャンプ場を開きました
えらぶ年寄り組は、今年の7月、ボランティアの学生さんのために無料のキャンプ場を開きました。 キャンプ場を利用したい希望者にお伝えください。
ボランティアの学生には
宿泊無料、食事提供なし、自炊です。
えらぶ年寄り組の調査ボランティアだけでなく、復旧・復興のためや、農業・漁業ボランティアの皆さんにも無料で宿泊してもらえます。各団体も、希望者に紹介してください。
灰干し講習・試食会
8月に開催予定の「灰干し講習・試食会」は中止になりましたが、日を改めて開催します。
季刊 くちのえらぶ島の自然(2016年初夏号) 通算19号
発行日:2016年7月5日
<エラブオオコウモリ一斉調査と勉強会>
6月中旬に鹿児島国際大学の舩越公威先生が、エラブオオコウモリの予備調査のために来島されました。専門家によるエラブオオコウモリの学術調査は13年ぶりのことです。舩越先生は8月と9月に調査を予定されており、予備調査のための来島でした。8月は、2日間かけて本村・湯向地区で一斉調査をされます。えらぶ年寄り組は協力しますが、島民の皆さまも是非ともお力添えください。
◆一斉調査
8月9日、10日 (日没後の2時間) 9日に本村、10日に湯向で。あるいは逆になるかも。
◆勉強会
8月9日 (昼間に本村公民館か、本村温泉で) せっかくの機会ですから、舩越先生にコウモリのお話を聞かせてもらおうと、お願いしております。 調査の説明会と勉強会を兼ねて実施予定です。
ウミガメ 向江浜に、ウミガメガ上陸しています。正行さんと後藤さんからの情報提供があり、5月29日、6月26日に足跡が発見されています。 美浦海岸のアオウミガメですが、数頭は目撃されました。片手のカメが行方不明です。見かけたらご連絡ください。
エラブオオコウモリ 6月中旬に舩越先生が予備調査に来島されました。年寄り組も調査に同行して、調査方法などを教えていただきました。 8月9日、8月10日は、舩越先生が本村・湯向地区の一斉調査をされます。 13年ぶりの専門家による学術調査です。どのような変化があったのか?噴火による影響がないのか?・・・・・・・などが、調査の課題となります。 皆さまの手助けが必要です。ご協力ください。
◆ワシントンヤシでの頭数の計測 5月は、健康広場のワシントンヤシや学校ワシントンヤシに飛来して留まる個体が数多く見られました。
5月11日 健康広場 16頭 5月12日 学校ワシントンヤシ 12頭 5月25日 学校ワシントンヤシ 16頭 などが、観測されました。
それぞれ、携帯電話で情報をいただいて観測できたものです。ご協力に感謝します。 5月にワシントンヤシに多くのコウモリが集まってくるのは、花蜜が目的です。
他の被植樹は、 ◆マルバグミ(神社下坂道) 2月29日と3月15日にそれぞれ1頭が目撃。 ペリットシーズンは、年中ですが、3月末~4月が最盛期。 2月~3月は20~50個程度で例年通りでした。 3月末~4月にかけて、多くのペリットが観察できました。特に3月28日には604個ものペリットが観測されました。 6月~7月は、ペリットがゼロの日が続いています。
◆アコウ(学校入り口水路近く) 2月末~4月初旬がペリットシーズン 7月初旬、湯向のアコウが実を付けています。これからが、コウモリが観測できる場所になります(同じアコウですが昨年は4月が最盛期でした。アコウは年によって三のつく季節がズレます)。
◆シマグワ(学校上坂を上り切ったT字路) 4月下旬~5月上旬が最盛期。
◆桃(夕景手前) 6月中旬からが最盛期、7月初旬まで観測できす。天気が良ければ、夜間9時過ぎ、4~5頭を目撃できました。ここは、2、3メートルの距離で観測できます。
◆イヌビワ 6月に入って、イヌビワのペリットが目立ちます。 観測しやすいイヌビワですが、 6月下旬は、西之湯温泉へのT字路のイヌビワ。温室の上、S字カーブのイヌビワ。あるいは、新村への上り坂、崖崩れあと(大型土嚢あり)から少し上ったところのイヌビワも観測ポイントです。
ボランティア体験・学習キャンプ事業の 参加予定のグループです
7月末および10月頃 東京環境工学専門学校 8月7日~9日 屋久島高校 環境コース学生 8月10日前後 大阪市立大学QOL演習グループ
「えらぶ寄り組」では、自然保護の調査を手伝ってもらいながら、参加者に自然を学んでもらう「ボランティア体験・学習キャンプ」事業を始めました。上記のグループは、参加予定のグループです。 無料のキャンプ場で宿泊してもらい、「えらぶ年寄り組」の調査に参加し、自然や口永良部島の歴史や暮らしを学んでもらいます。
無料のキャンプ場はボランティアの皆さんのための宿泊所です
えらぶ年寄り組の調査ボランティアだけでなく、復旧・復興のためや、農業・漁業ボランティアの皆さんにも止無料で宿泊してもらえます。各団体も、希望者に紹介してください。
季刊 くちのえらぶ島の自然(2016年春号)通算18号)
発行日:2016年4月22日
<昆虫調査 見学・勉強会>
4月29日 19時~ 公民館で 講師:鹿児島県立博物館 学芸主事(昆虫担当) 金井賢一(かないけんいち)さん
小・中学生と島民の皆さんの参加歓迎です。 雨の時:見学会は中止しますが、昆虫勉強会は行います。
島民の皆さまへ 鹿児島県立博物館 学芸主事(昆虫担当) 金井賢一
口永良部島ではカブトムシ(ツチヤカブト)やノコギリクワガタが,この島独特の亜種として認められたが,詳細な昆虫についての記録はなく,蛾類,チョウ類,甲虫などに多少の記録が知られる状態です。このため,どのような昆虫がいるのか,特に屋久島にいるのに口永良部島にはいないものなどを中心に調査したいと存じます。また、2015年5月に噴火した口永良部島新岳の影響を測るために,チョウ類や甲虫,アリなどを調査予定です。
<持ち物>懐中電灯、スリッパ禁止、雨具 <連絡先>「えらぶ年寄り組」山口まで090-5886-2537
えらぶ年寄り組の 自然調査を再開しました
自然調査を再開しました。 手始めに、エラブオオコウモリのペリット調査を始めました。オオコウモリは元気です。 3月は、学校入り口の三叉路(水路が暗渠になるあたり)のアコウの実のペリットが観測されました。 2月から4月にかけては、神社下の急坂にあるマルバグミの葉のペリットがたくさん落ちています。19時~21時ころには、採餌中のオオコウモリに会えます。
環境省 グリーワーカー事業 を引き受けました
昨年に続いて、平成28年度(2016年)も、環境省から、グリーンワーカー事業を引き受けました。 3年目に入ります。 動植物に噴火の影響がないのか・・・・・・・が、調査の課題となります。 皆さまの手助けが必要です。ご協力ください。
口永良部島エコパーク・キャンプ場(無料) を始めました
えらぶ寄り組では、自然保護の調査を手伝ってもらうボランティアの方々の宿泊のために、キャンプ場をひらきました。 噴火からの復旧・復興のために来島されたボランティアの方々にも宿泊してもらえます。
場所:山口の畑の一角でテントを用意しました。雨天の際には「ヤッサン小屋」を雨除け避難の宿泊所として使ってもらえます。当分は、ボランティアの皆さんの専用で無料です。
出来るだけ毎月、ニュースレター「月刊 くちえらぶ島の自然」を発行し、すべての島民に配布お届けしています。
No22
季刊 くちのえらぶ島の自然(2017年 初春)
発行:えらぶ年寄り組
2017年3月10日
灰干し試食会の報告です
昨年11月、灰干しの試食会を行いました。予定していた日が雨だったため、日を改めて島民宅やグループ集会、本村温泉などを訪問して試食してもらい、アンケートをお願いしました。
参加者には説明書を配布して灰干しの作り方も説明しました。◆アンケートの結果参加者は30名でした。魚の種類は、ヘキ、オアカムロ、タルメ、シツです。複数の魚を試食してもらった方もあるので、延べ回答は67でした。
表 1 試食アンケート結果 (回答延べ数 67)
灰干しが良かった
「何もしない魚」が良かった
差がなかった
総合結果
41
19
7
ヘキ
19
5
3
オアカムロ
15
7
3
タルメ
3
6
1
シツ
4
1
0
<注>「何もしない魚」は、灰干しの製作方法と手順が同一ですが、火山灰を使わずに処理したものです。
<灰干し>
臭みが抜けている、身が締まっている(しっとり感がなくなる)、味が濃くなる、まろやか(角がとれる)など。
<何もしない魚>
やわらかい、塩味がソフト、匂いがするなどの意見がありました。アンケートでは、灰干しすることで、味が良くなったり、匂いが取れたり、食感が変化するとの回答がありました。しかし、魚種によっても違いがあるようです。口永良部島で火山灰が手に入らないのが残念です。
◆灰干しを作ってみませんか!
灰干し作成セットを貸出しできます。火山灰、サラシ、セロハン、ケースなど、余分があります。興味のある方は、山口までご連絡ください。<作り方>魚の切り身を6%の食塩水に2時間(20分としたのは誤り)漬けて、水気をぬぐったあと、セロハン、サラシの順に包み、火山灰にはさみ込みました。冷蔵庫の中で3日間保管すると出来上がりです。
「絶滅が心配な鹿児島の植物」講演会の報告
講師は県立博物館の久保 紘史郎さん
11月17日 に、「絶滅が心配な 鹿児島の植物」と題した講演会を開きました。講師は、鹿児島県立博物館の久保 紘史郎さんにボランティアでお願いしました。参加者は12名、子供たちも熱心に耳を傾け、質問をするなど熱心で、久保さんも喜んでおられました。久保さんは、口永良部島の植物(特にカンアオイなど)を調査されました。カンアオイは、かつては島の方々で見られたようですが、残念ながら今回は発見できなかったようです。久保さんによると「口永良部島やトカラ列島などは、島の成り立ちからして、太古に陸続きだったのが離島になり孤立したので、同じランでも変化した新種が見つかるかも」と興味深い話があり、「屋久島ではムヨウランなどの新種が見つかっています。口永良部島では、タカツルランが生育するような森があるので新種のランなどが見つかる可能性があります」と、誰でも新種の生物を見つけることができると、話されました。
環境省グリーン・ワーカー事業が終わりました
「えらぶ年寄り組」は、環境省からグリーン・ワーカー事業の委託を受けて、島の動植物を調査しました。今年は3年目で、最終年度です<報告書を役場出張所、公民館や本村温泉に置く予定です>。
◆エラブオオコウモリ
昨年8月、船越先生との調査(皆さんに手伝ってもらった調査)で、約50頭のオオコウモリの生息が推定できました<船越先生は今年も調査に来られる予定です>。この一年、オオコウモリが観測しやすい場所と木を探しました。特に注目したのは、神社下の坂道にあるマルバグミの葉のペリットです。一年間通して観測しました。年中食べていますが、3月が一番よくペリットが見つかりました。1mの近さで葉を食べるコウモリを見ることができます。前田のヒゲモモでは、2mの近さでモモを食べるコウモリを観測できました<見学会を予定しています>。その他に、コウモリを近くで見ることができたクワとイヌビワの場所を地図にしました。これまで知られていなかったことですが、クチナシの実をエサにしていました。
◆ウミガメ
島民の皆さんからの情報で分かったことですが、①向江浜にはウミガメが上陸している。②生まれた子ガメが本村の港で発見された・・・・ことが分かりました。美浦の漁港近くのアオウミガメですが、今年見つかったアオウミガメは、10頭で、そのうち4頭が2年前にも写真撮影されていたことが分かりました。片手のないカメ(ジェーン)は、ここ2年ばかり姿がありません。<年寄り組の撮影以外に、>皆さんから写真の提供を受けました。ダイバーの田中(理)さん、築地魚市場の小林さん(元鹿児島大学学生)、金岳中学校の河野英俊先生にお礼申し上げます。
◆ヤクシカ
糞塊を調べてヤクシカが生息する密度を推定しました。50m×4mを3ヶ所(女ガ崎、なかだいら、田代大山)の糞塊をしらべて、生息密度を推定しました。平均ですると、1平方kmあたり約270頭でした。
◆照葉樹林の林床
田代大山のスダジイの森の中10m×10mをネットで囲み、ヤクシカが入らないようにして、林床がどう変化するかを調べました。半年後にしらべると、柵の内側には約300もの実生(マテバシイ、ヒサカキ、サカキカズラ、トカラアジサイなど)を見つけました。柵の外には実生がほとんど見られません。ヤクシカの食害が如何にひどいかが分かりました。見学会しますので、ご参加ください。
◆タカツルラン
今年2017年2月に、「屋久島ラン科植物保全の会」の手塚夫妻とともに、タカツルランの生存確認をしました。立ち入り禁止地域の中にある、みかん山の登山道、砂防ダムの近くを町の許可をもらって調べました。噴火前に確認していた約30個体のうち22個体を調査したところ、4個体が生き残っていました。
スダジイの森は火砕サージの熱風を受けて、木々は立ち枯れ状態になり、そのためにタカツルランの多くが死滅したようです。高木が枯れたため、森が明るくなって、シカが食べないシマイズセンリョウが繁殖していました。谷筋には小規模な土石流が流れた跡があり、向江浜の様子に似ていました。種を採取してスダジイの根元に蒔いたのですが、実生が発見された・・・・と共同研究者の佐賀大学辻田先生から連絡がありました。大成果です。
◆お願い
次年度(今年から)、環境省からの資金が入らなくなります。これからも調査活動は続けますが、謝金が払えなくなります。島民の皆さんのボランティアでのご協力をお願いします。
No21
季刊 くちのえらぶ島の自然(2016年秋臨時)
発行:えらぶ年寄り組
2016年11月14日
皆さんへお誘い
鹿児島県博物館の久保さんが、調査に来られるのを機会に、講演をお願いしたところ、快諾いただきました。
2016年11月17日 夜7時 公民館で
― 絶滅が心配な 鹿児島の植物 ―
講師:鹿児島県立博物館 久保 紘史郎 さん
この夏に予定していて、台風で中止になった「灰干し試食・講習会」を改めて開催します。
2016年11月17日 昼3時から 農協前で
灰干し試食・講習会
主催:えらぶ年寄り組
No 20季刊 くちのえらぶ島の自然(2016年秋)
発行:えらぶ年寄り組
発行日:2016年10月12日
エラブオオコウモリ一斉調査が無事終了
鹿児島国際大学の舩越公威先生による、エラブオオコウモリの一斉調査は、お陰さまで無事に終了しました。舩越先生から皆さんへのお礼の便りと、下記の仮報告をいただきました。
一斉調査の中間報告(舩越公威)
今回の調査では全島一周の調査ではないこと、前回の調査(2000年10月と2001年9月)と季が違っていたことで比較はできませんが、2001年9月調査(50頭)と類似しているので、新岳噴火以前と以後で個体数に大きな変動がみられず、その影響は小さかったと思われます。
◆ボランティアの学生さん
慶應義塾大学9人、大阪市立大学7人、鹿児島国際大学1人、東京環境工科専門学校5人の学生さん達は、謝金なしのボランティアで手伝っていただきました。
◆えらぶ年寄り組は、
一斉調査の事務局を引き受けるとともに、島民の皆さん(広島大学院生を含む)の謝金支払いを分担しました(環境省予算で支払いました)。鹿児島国際大学は、レンタカー、ガソリン代を分担しました。
7月末~8月中旬 東京環境工学専門学校 6人
8月7日~9日 屋久島高校 環境コース学生 5人
8月10日前後 大阪市立大学QOL演習グループ 7人
9月末~10月中旬 東京環境工学専門学校 3人
美浦 アオウミガメ
美浦のウミガメが、ずーと1ヵ所に留まって暮らしているのか、それとも回遊する途中で立ち寄ったのかを調べています。水中カメラで撮影すると、甲羅の模様の違いからウミガメを区別することができます。この夏に見つかった10頭の内、4頭がここ3年間、美浦の入り江に居ついていることが判りました。
写真提供:田中さん(旅行者ダイバー)、河野先生、後藤さん(えらぶ年寄り組)の皆さんに感謝します。
個体名
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
1
片手ジェーン
目撃あり
⑥ ⑪
② ⑦⑧
② ⑧
情報なし
目撃なし
2
タツノオトシゴ
⑪⑫
⑥ ⑧
3
ミダレ
⑥ ⑧
⑧⑨⑩
4
ハト・佐渡
⑧
⑥⑦ ⑨ ⑪
⑦⑧⑨
5
ヤッコ55
⑥
⑧⑨⑩
6
首に星
⑧
7
カミソリ
⑦⑧⑨⑩
8
流れ星
⑦
9
逆さN
⑦
10
ヤッコ55
⑧
11
ゴルフ・心
⑧
⑨
12
ブチ・サブマリーン
⑧
①
⑦ ⑧
13
点々
⑨
14
パイπ
⑨
15
巨神兵・狩人
⑨⑩
⑨
16
エビ
⑩
17
ハの字
⑩
18
花火
⑩
19
ナガレ22
⑪
20
マークC
⑪
21
フック
⑪
22
尾に白点
⑪
23
イカリ
⑪
24
尾しろ
⑦
25
つばめ流星
⑨
26
ごま塩
⑨
27
3点白
⑦ ⑨
28
ふの字
⑨
29
後脚欠損
⑦目撃
<注>2015年1月までの結果は、「えらぶ年寄り組」の、2014年度グリーンワーカー事業で得られた結果です(写真提供:大久保さん、広島大学の学生・院生、鹿児島大学小林さん、峯苫さん、後藤さん)。
環境省の調査事業を引き受けています
事業名は「口永良部島における動植物の生息・生育状況把握事業」で、エラブオオコウモリ、ウミガメ、植生などの調査と、シカやノヤギの生育状況を調査しています。
ご協力をお願いします。
ウミガメ写真をご提供ください。ペリットや
コウモリ情報を教えてください。
無料のキャンプ場を開きました
えらぶ年寄り組は、 今年の7月、ボランティアの学生さんのために無料のキャンプ場を開きました。
キャンプ場を利用したい希望者にお伝えください。
ボランティアの学生には
宿泊無料、食事提供なし、自炊です。
えらぶ年寄り組の調査ボランティアだけでなく、復旧・復興のためや、農業・漁業ボランティアの皆さんにも無料で宿泊してもらえます。各団体も、希望者に紹介してください。
ボランティアの学生さんに手伝ってもらいたいことがあれば、声をかけてください。灰干し講習・試食会
8月に開催予定の「灰干し講習・試食会」は中止になりましたが、日を改めて開催します。
No19
季刊 くちのえらぶ島の自然(2016年初夏号)
通算19号
発行:えらぶ年寄り組
発行日:2016年7月5日
<エラブオオコウモリ一斉調査と勉強会>
◆一斉調査
8月9日、10日 (日没後の2時間)
9日に本村、10日に湯向で。あるいは逆になるかも。
◆勉強会
8月9日 (昼間に本村公民館か、本村温泉で) 聞かせてもらおうと、お願いしております。
せっかくの機会ですから、舩越先生にコウモリのお話を
調査の説明会と勉強会を兼ねて実施予定です。
向江浜に、ウミガメガ上陸しています。正行さんと後藤さんからの情報提供があり、5月29日、6月26日に足跡が発見されています。
美浦海岸のアオウミガメですが、数頭は目撃されました。片手のカメが行方不明です。見かけたらご連絡ください。
6月中旬に舩越先生が予備調査に来島されました。年寄り組も調査に同行して、調査方法などを教えていただきました。
8月9日、8月10日は、舩越先生が本村・湯向地区の一斉調査をされます。
13年ぶりの専門家による学術調査です。どのような変化があったのか?噴火による影響がないのか?・・・・・・・などが、調査の課題となります。
皆さまの手助けが必要です。ご協力ください。
5月は、健康広場のワシントンヤシや学校ワシントンヤシに飛来して留まる個体が数多く見られました。
5月11日 健康広場 16頭
5月12日 学校ワシントンヤシ 12頭
5月25日 学校ワシントンヤシ 16頭
などが、観測されました。
それぞれ、携帯電話で情報をいただいて観測できたものです。ご協力に感謝します。
5月にワシントンヤシに多くのコウモリが集まってくるのは、花蜜が目的です。
◆マルバグミ(神社下坂道)
2月29日と3月15日にそれぞれ1頭が目撃。
ペリットシーズンは、年中ですが、3月末~4月が最盛期。
2月~3月は20~50個程度で例年通りでした。
3月末~4月にかけて、多くのペリットが観察できました。特に3月28日には604個ものペリットが観測されました。
6月~7月は、ペリットがゼロの日が続いています。
2月末~4月初旬がペリットシーズン
7月初旬、湯向のアコウが実を付けています。これからが、コウモリが観測できる場所になります(同じアコウですが昨年は4月が最盛期でした。アコウは年によって三のつく季節がズレます)。
4月下旬~5月上旬が最盛期。
6月中旬からが最盛期、7月初旬まで観測できす。天気が良ければ、夜間9時過ぎ、4~5頭を目撃できました。ここは、2、3メートルの距離で観測できます。
6月に入って、イヌビワのペリットが目立ちます。
観測しやすいイヌビワですが、
6月下旬は、西之湯温泉へのT字路のイヌビワ。温室の上、S字カーブのイヌビワ。あるいは、新村への上り坂、崖崩れあと(大型土嚢あり)から少し上ったところのイヌビワも観測ポイントです。
ボランティア体験・学習キャンプ事業の 参加予定のグループです
8月7日~9日 屋久島高校 環境コース学生
8月10日前後 大阪市立大学QOL演習グループ
無料のキャンプ場で宿泊してもらい、「えらぶ年寄り組」の調査に参加し、自然や口永良部島の歴史や暮らしを学んでもらいます。
無料のキャンプ場はボランティアの皆さんのための宿泊所です
No19
季刊 くちのえらぶ島の自然(2016年春号)通算18号)
発行:えらぶ年寄り組
発行日:2016年4月22日
<昆虫調査 見学・勉強会>
県立博物館の昆虫専門家が、昆虫調査のために来島されます。捕獲の際に、見学会を開いていただけることになりました。4月29日 19時~ 公民館で
講師:鹿児島県立博物館 学芸主事(昆虫担当) 金井賢一(かないけんいち)さん
小・中学生と島民の皆さんの参加歓迎です。
雨の時:見学会は中止しますが、昆虫勉強会は行います。
島民の皆さまへ 鹿児島県立博物館 学芸主事(昆虫担当) 金井賢一
<持ち物>懐中電灯、スリッパ禁止、雨具
<連絡先>「えらぶ年寄り組」山口まで090-5886-2537
自然調査を再開しました。
手始めに、エラブオオコウモリのペリット調査を始めました。オオコウモリは元気です。
3月は、学校入り口の三叉路(水路が暗渠になるあたり)のアコウの実のペリットが観測されました。
2月から4月にかけては、神社下の急坂にあるマルバグミの葉のペリットがたくさん落ちています。19時~21時ころには、採餌中のオオコウモリに会えます。
3年目に入ります。
動植物に噴火の影響がないのか・・・・・・・が、調査の課題となります。
皆さまの手助けが必要です。ご協力ください。
口永良部島エコパーク・キャンプ場(無料) を始めました
噴火からの復旧・復興のために来島されたボランティアの方々にも宿泊してもらえます。
2015年
春季号
2014年
1・2・3月号 4月号 5月号 6月号 7月号 8月号 9月号 10・11月
2013年
創刊号(5月号) 6月号 7月号 8月号 9月号 10・11月号 12月号